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2026.03.03

祈りを込め護摩炉をかぶる「すりばちやいと」

鯖江市にある天台宗の寺、中道院で1000年以上続くとされる 伝統行事「すりばちやいと」。すり鉢状の炉を頭からかぶる―少し不思議なその光景。

すりばちやいと: 毎年2月20日と3月2日の2回開催

冷たい空気が残る2月の朝。鯖江市の住宅街の一角に、毎年この時期だけ現れる行列があります。
  
この日は千年にわたり人々の願いを受け止めてきた「すりばちやいと」の日。
  
逆さに吊るされたすり鉢型の護摩炉。その上では、もぐさが静かに燃え、境内にほのかな香りが広がります。

「すりばちやいと」の始まりは平安時代。比叡山の僧・元三大師がこの地を訪れ、病に苦しむ人々の頭に炉をかざし灸をすえて救ったことが由来と伝えられています。
  
当時は、頭痛や流行り病に効くと信じられ、地域の人々の駆け込み寺のような存在でした。
  
僧侶が真言を唱えるなか、一人、また一人と炉のもとへ。名前を書いたお札や家族の写真を差し入れる人も。
  
「自分を守ってくれているのでありがたい。毎年来ている」と話す地元の男性は、セーラー服を来た孫の写真を手に「京都大学に受かった」と笑顔を見せます。
 
世代を超えて受け継がれてきた風景です。

それぞれの願いを込めて頭を差し出し静かに目を閉じる。それだけで、心が少し軽くなる気がする。
住宅街の中に、ひっそりと息づく千年の祈りの地です。
  

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